Archive for 河野順一の読書

昭和40年代ファン手帳 (泉麻人著)

昭和40年代ファン手帳

昭和40年代ファン手帳 (中公新書ラクレ) [新書]

当然に思っていることが、当然でなかった時代があった。
現代を理解するためには、「過去」を振り返ってみることも重要だと気付かされた一冊。
ノスタルジー趣味の本としてだけでなく、社会学の本としても読めるだろう。

深読みサッカー論(山本昌邦・武智幸徳著)

深読みサッカー論

深読みサッカー論 (日経プレミアシリーズ) [新書]

サッカーワールドカップブラジル大会開幕を前に、泥縄式ではあるが、私もサッカーについて予習しようと思って本書を購入した。
購入の決め手は、帯の「ブラジルW杯が10倍面白くなる」という文字が目に飛び込んできたからだ。
読み進めているうちに、ワールドカップは本日開幕してしまったが、実際の試合を見るのと同じくらい、本書は面白い。
山本昌邦氏と武智幸徳の対談形式であるため、非常に読みやすく、サッカーの世界にすんなり入り込むことができる。
日本代表の初戦を目前に控えた週末の土曜日に、書店でこの本を求めて気分を盛り上げてみるのも良いかもしれない。
河野順一、おすすめの一冊である。

14歳の君へ

fourteen

14歳の君へ―どう考えどう生きるか(池田晶子著)

学生の話題が続いたので、今回はこの本を紹介したい。
「14歳の君へ」はベストセラーになった「14歳からの哲学」に続いて池田晶子氏が「14歳」をタイトルに付して世に出した<人生の教科書>である。
この本をできれば「14歳」の子供達に読んでほしいものである。
長崎に修学旅行に赴いた、例の生徒達も14歳か、あるいは15歳になったばかりであろう。
だが、実際には子供達がこのような本を読むことも、手にすることも、なかなか無いのかもしれない。
だとしたらどうするか?

答えは簡単だ。
かつて「14歳」だった大人達が、心の底に眠る少年少女時代の感性を呼び覚ましつつ、この本を読んでから子供達に接すればいい。
大人達の生き方も、子供達の生き方も、変える力がこの本にはある。

著者は、この本を上梓してまもなくその生涯を閉じた。
そのせいか「どう考え、どう生きるか」をやさしく説いたこの本は非常に胸に迫るものがある。

「わたしが人生について語るなら」

わたしが人生について語るなら

わたしが人生について語るなら (加島祥造著)(ポプラ新書)

久々に本の紹介をしたい。

著者は1923年生まれ。
この新書の元になった本は2010年刊行であるから、著者が80代半ばを過ぎて世に出した一冊である。
しかも、「未来のおとな」に向けて伝えるスタイルがベースになっているので、非常に柔らかく温かい語り口となっている。

柔らかい心を持ち続けてさえいれば、何歳になったって自分の可能性はどんどん拓けていく。

テレビやゲームに囲まれた「未来のおとな」は、なかなかこのような本を読んでくれないかもしれない。
だとしたら、「現在のおとな」がこの本に接して、そこから得た言葉を、感動を「未来のおとな」に伝えてあげるのも、一つの方法かもしれない。

こう観ればサッカーは0-0でも面白い(福西崇史著)

こう観ればサッカーは0-0でも面白い

こう観ればサッカーは0-0でも面白い (PHP新書)

今年はワールドカップイヤーということで、日々進化を信条とする河野順一は、サッカーに関する学習も少しずつではあるが進めている。
ゴールデンウィークは仕事の合間に、福西崇史氏の「こう観ればサッカーは0-0でも面白い」を読破した。
本書は「ボランチ」というポジションを中心に、サッカーの戦術をわかりやすく伝えてくれる。
組織論が好きな日本のビジネスマン諸氏にも得るところ大の内容といえよう。
のみならず「個の力」についても本書はしっかりとページを割いている。
「個の力」と「組織」をどう融合させるか、これは事務所を率いる私にとっても多いに参考になるところがあった。
本書の最後は日本代表と日本サッカーの未来について語って終えられているが、いつの日か福西崇史氏が日本代表を率いる姿を見てみたくなった。

テレビが伝えない憲法の話(木村草太著)

テレビが伝えない憲法の話

テレビが伝えない憲法の話(PHP新書)

もうすぐ憲法記念日。
憲法についてじっくり学び、考えるのにこれ以上良いタイミングはないだろう。
本来ならば憲法記念日当日のブログでご紹介すべきであろうが、早めに書店で買い求めて、
連休中に目を通してもらいたいということで本日の紹介とした。

最近の憲法改正・憲法解釈論議の高まりを受けて憲法に関する本は多数出版されているが、
内容の読みやすさと価格の手頃さ、そして新しさという点から、この本をおすすめしたい。
最近メディアにも多く登場するようになっている木村草太氏が、
「憲法論議を正しく楽しむための一冊。」
として4月16日に世に出したばかりの新刊である。

著者の立場に同意される方も、そうでない方も、著者の狙いである「憲法論議を正しく楽しむ」ことがきっと出来るであろう。

いちえふ

いちえふ

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)

脱原発か、反原発か、原発を利用し続けるか。
それらについて考える前に、まずこのノンフィクション漫画をぜひ読んでみてほしい。

仏教百話(増谷文雄著)

仏教百話

仏教百話 (ちくま文庫)

花祭りを前に、「仏教百話」を買い求めてみた。
他にも、仏教関連書籍をいろいろとネットで注文してみた。
事務所の職員が、私の代わりに注文してくれるのだが、便利な時代になったものだ。
とはいえ、やはり実際に書店に足を運び、本を選ぶことは便利さに勝る楽しみがある。

尖閣・竹島は日本の領土

尖閣・竹島「日本の領土」…小学教科書に初めて(読売新聞)

小学生が文房具や上履きといった自分の物に自分の名前を書くように、教科書に尖閣や竹島を自国の領土と書くのは当たり前のこと。
小学校で持ち物に名前を書いていないと、他の子に間違えて持って行かれたり、盗まれた時、自分の物と言えなくなるおそれがある。
今まで書いてこなかったのがおかしい。

すでに竹島は盗まれてしまっているが、今からでもやるべきことはやらなければならない。

若虎よ!(掛布雅之)

若虎よ!

若虎よ! (角川oneテーマ21) 掛布 雅之

昨年の秋より、阪神タイガースゼネラルマネジャー付育成&打撃コーディネーター(Development Coordinator、略称「DC」)に就任した掛布雅之氏の著書。
25年ぶりに古巣阪神タイガースに復帰した掛布DCは、一軍・二軍の枠にとらわれず、阪神の選手たちを指導することを任務としている。
就任以来、掛布氏の指導に関するスポーツ報道を注視してきたが、このたび氏の著書が発売されたので早速購入してみた。
私も、セミナーや著書を通じて後進の社会保険労務士を指導・育成する立場にあるだけに、掛布氏の言葉の一つ一つに時には頷き、時には感心させられながら読み進めていった。
中でも目を引いたのが、

プロフェッショナルとして、それは仕事である。
しかし、根本にあるのは、好きだからという気持ち。
それがあるからこそ、とことん、人生を捧げてまで探求、努力ができる。

という掛布氏の言葉だ。
年中無休、二十四時間仕事人間の私にとって、まさに我が意を得たりである。
好きだからこそ、なのである。
私もまた、プロフェッショナルとして、自らの仕事に、とことん人生を捧げて探求、努力していきたい。

掛布氏の指導が花開き、阪神タイガースの若虎達が活躍する姿を見るのが今から楽しみである。

パラレル宇宙論

ニュートン

Newton (ニュートン) 2014年 05月号

今月号のNewtonは「パラレル宇宙論」の特集だった。
最近の宇宙論では、この宇宙以外にもパラレル宇宙、日本語で言えば並行宇宙が存在すると唱える学者も増えてきているそうである。
この宇宙の様々な物理定数は人間の誕生にとって極めて都合の良い数値になっているおり、まるで我々人間を生み出すために何者かが最適な数値に調節(ファインチューニング)したのではないかと思うほどだそうである。

これは一体何故なのか、というのは以前から宇宙論において難問とされてきた。
その問題の答えの一つとして提唱されているのが、宇宙は無数に存在するというパラレル宇宙論なのである。
要するに宇宙にはパラレル宇宙(並行宇宙)が無数に存在し、そのうちの一つが、たまたま我々が生まれた宇宙であるということらしい。
これが事実ならば、我々のような人間どころか生物が全く存在しない宇宙や、人間とは違った形の知的生命体が存在する宇宙もあり得るということだ。
パラレル宇宙論が本当だとすると、他の宇宙というものをこの目で見てみたくなるのが好奇心というものだが、残念ながらそれは無理なようだ。

ただ、重力波だけは、他の宇宙とやり取りできる可能性があるらしいが、肝心の重力波そのものが存在は予言されていても、未だ検出されていないそうである。
現在、世界中で重力波の検出への取り組みが行われており、日本でも国立天文台などがその観測を行っているらしい。
我々の住むこの宇宙自体が謎に満ちているのに、さらに並行宇宙などというものを想定し探求する科学者には驚かされるばかりだ。

いつの日か、重力波を介して、並行宇宙の知的生命体と挨拶したり、議論したりする日が来るのだろうか?
もし来たのならば、ぜひ、他の宇宙の労働法はどうなっているか、尋ねてみたいものだ。

哲学の練習問題(西研 著)

哲学の練習問題

哲学の練習問題 (河出文庫)

西研氏の著書の数々からは非常に多くのことを学んでいる。
ぜひ皆さんにも読んでいただきたいのだが、哲学書というと敷居が高く感じられる人も多くいらっしゃるだろう。
この「哲学の練習問題」ならば文庫で、しかもそれほどページ数が多くない。
Q&A形式で難しい言葉は使わずに、社会と遊離せず哲学について語る西氏のこの一冊で、ぜひ哲学への扉を開いてほしいと願っている。

賢人の読書術

賢人の読書術

賢人の読書術

本日の一冊。

猫ピッチャー 1 (そにし けんじ著)

猫ピッチャー

猫ピッチャー1

読売新聞日曜版を開く楽しみの一つが、この「猫ピッチャー」を読むことだ。
「猫ピッチャー」とは、プロ野球界初の猫投手であるミー太郎が、セロリーグの野球チーム「ニャイアンツ」に所属して、猫ならではの珍プレー好プレーを繰り広げる、そにしけんじ氏の大好評連載漫画である。

今回、この猫ピッチャーが単行本化されたので、早速買い求めて読みなおして見たが、
やはり面白く、仕事の疲れが癒やされる。
ブログ読者の皆さんにもおすすめしたい。

猫がプロ野球で活躍するとなると、猫ピッチャーに果たして労働基準法は適用になるのだろうか、などと考えてしまうのはもはや職業病だろう。
実際はプロ野球選手は労働者ではなく、個人事業主扱いなので、時間外労働や有給休暇取得の問題は発生しない。
しかし、日本プロ野球選手会はスト権行使可能な労働組合であるため、漫画の中でも猫ピッチャーが労使交渉にも登場することがあるかもしれない。

(猫に権利義務の帰属主体としての地位が認められるとしての話ではあるが…)

樅ノ木は残った(山本周五郎 著)

樅ノ木は残った

樅ノ木は残った (上) (新潮文庫)

言わずと知れた名作である。
平幹二朗主演の大河ドラマの原作にもなっているので、ドラマでご覧になられた方も多いかもしれない。
本書は江戸時代、仙台藩で起きたお家騒動である「伊達騒動」における極悪人として長く歴史に名を残した原田甲斐を、百八十度異なった立場として描ききった作品である。
まさにコペルニクス的転回を実現させた山本周五郎の構想力と、執筆力に圧倒される。
原田甲斐(原田宗輔)の真の姿は知る由もないが、「樅ノ木は残った」の中で描かれる原田宗輔の、たとえ汚名を着せられようとも、守るべき者を命がけで守りぬいた姿は読む者の心を必ず震わせるだろう。