新刊案内「労働基準監督署は、あなたの会社を狙っている!(仮題)」続

昨日の続き…

ここで誤解を受けぬよう明言しておくが、筆者は、いかなる場合にも未払い残業代を支払う必要がないと主張しているものではない。
使用者が労働者に対して時間外労働を命じて、労働者が労務を提供した時間については、当然に賃金を支払う義務がある。
しかし、タイムカードの打刻時刻などだけで、実際に労働を命じていない時間にまで、たとえ労働基準監督署から命じられたとしても、賃金を支払うことはないと述べているのである。
くわえて、罰則を背景にして、職務権限を逸脱した労働基準監督官のする是正勧告は、憲法に違反するのではないか。
労働行政係る是正勧告に関連する書籍は多い。しかし、その大半は、「監督署の是正勧告に従わないと、書類送検の虞がある。だから監督行政には従いなさい。」
と罰則規定を背景として、是正勧告に応じるよう促す内容となっており、監督官側の立場をことさら誇張したものとなっていることが残念でならない。
筆者はひとえに、今後働き方改革が本格化し、罰則規定が法文に盛り込まれたとしたならば、企業が、本来は相当しない罰則を過剰に畏怖し、
義務なき行政指導に服従しなければならない場面が多くなることを危惧するものである。
なぜなら、今でさえ労働時間の中身が不確かであるのに、それを検証することなく、タイムカード等を用いて是正勧告がされ、
相手方の任意の協力が大前提のはずの行政指導(是正勧告)により、過去に溯って未払い賃金の支払いが命じられるという不利益処分を労働基準監督署が行っているからだ。
そのような中、今後一層重要となるのが、労働基準監督署(労基署)への対応に関する知識である。
労働基準法等の諸法令に基づいて企業を監督・指導する存在である労基署および労働基準監督官(監督官)の業務と権限について知ることは、
企業のコンプライアンス(法令遵守)の観点から必須の知識といえる。
中でも、是正勧告の前提となる監督官による立ち入り調査(臨検)に関しては、抜き打ちで行なわれることもあることから、
臨検の実際や対応法などにつき、予め知識を得ておくことは、日々の労務管理の適正化を図り、企業の社会的責任(CSR)を果たす上でも重要である。
そこで、社会保険労務士として労使間にかかわり、法体系の観点から労働基準監督署への対応を日々研究してきた筆者が、これまでの数多くの経験を元に、労基署対応の具体的な対処方法について、各種の企業で発生した実際の様々な労働問題を念頭においたケーススタディ方式で、専門外の読者(企業の経営陣はもとより、人事労務担当者)の方々にもわかりやすく解説するよう心がけることで、それらのニーズに応える拠りどころとして企画されたのが本書である。他に類を見ない書であるだけに、企業経営をされる方や、実務に携わる方々においては座右の書となり、垂涎の書になるものと自負するものである。(続く)

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