学びの本質を知る 3

【行政や弁護士に、過大な権限を与えすぎている】
しかし、嘆かわしいことに、社会保険労務士は労働関係諸法令の知識の豊富さを売りにしているはずであるのに、
実際には「法体系の仕組み」、「法文の読み方」、「法解釈」などが、全くなっていない方が目に余る。
受験科目に、憲法や民法が入っていないこともその大きな原因の一つであるが、それゆえ、問題は、行政や弁護士に過大な権限を与えたうえ、自らの資格を卑下していることにある。
まず行政に対しては、私たち社労士が業における根拠を法解釈に求めるのではなく、行政解釈に求めすぎた結果、何を言われても言われるままに、何らの主張ができない構図を作り上げてしまった。
それゆえ、行政指導には必ず従わなければならないと、勘違いをするのである。
例えば、監督署から、タイムカードの打刻時間に従い、2年間さかのぼって時間外割増賃金の支払いをしなければならないと言われれば、送検を恐れて言いなりになる。
解雇予告除外認定を事前に受けなければ、解雇予告手当を支払わなければならないと思い込む。
しかしながら、行政指導に、強制力はなく、原則として相手の任意の協力により実現するのである。
もちろん、国民の義務として、行政に協力できる指導には従っておかなければならない。
ここで注意を喚起するのは、行政のする権利の濫用にまで、自己の意に反して従う必要はないということである。
また、弁護士にしても同様である。確かに、労働法を専門に活躍されている有能な弁護士も少なくない。
しかし、弁護士という資格を有するからといって、労働法に精通している弁護士ばかりではないことを理解しなければならない。
事件は、事実と証拠が生命線であり、およそ8割程度の事件がこれで黒白を決するといわれる。
つまり、事件の筋が悪ければ、いくら有能な弁護士でも黒白を覆すことは至難の業であるということだ。
したがって、法体系をしっかり理解し、裁判例の傾向を把握し、法解釈を的確に行い、筋の良い事件を見極めることができれば、
労働事件に関して社会保険労務士も良い仕事ができると、私は確信している。社会保険労務士の皆さんは、もっと自分の資格と、仕事に対してプライドを持たれた方がよい。
ただし、それを担保するのは資格というよりも、個の資質、すなわち自己研鑚である。
受験に必要な科目とされていない内容で、しかし業に必要であるならば、自らで学習し知識を補っておかなければならない。

【参加するセミナーを吟味する】
このように、業を行う上で、学習することの大切さを理解していただいているものと思う。
国家資格にパスしたから、それでよいということではなく、そこからが、できる士業者と、そうでない士業者の分かれ目である。
企業に必要とされる社労士として業を行っていくためには、絶えず、正しく新しい知識の仕入れが欠かせない。
そこで、手近に社労士会主催の研修会に出かけたり、弁護士が講師を務める労働法のセミナーなどに参加することになるだろう。
しかし、ここで気を付けなければならないことは、セミナーに参加したことにより、必ず実践に使える知識を学べると勘違いしないことである。
当職のセミナーに参加される方々から伺うに、そうしたセミナーに時間と金銭の都合をつけて参加しても、
弁護士は社労士が一定レベルの法知識があることを前提として、小難しい法律の話に終始したり、新しい判例の解説をすることが少なくないという。
それでも、その時は場の雰囲気で「なるほど」と、理解したつもりになって家路に就く。
ところが、いざ実務に利用しようとしたとき、何をどうして良いのやら、全くお手上げ状態だったというのである。
これでは、面白おかしい漫談家の話に、腹を抱えて笑う「漫談ライブ」と、何ら変わりがない。
暇な人間の時間つぶしには良いだろうが、業に使える知識の底上げをすべく、仕入れに行って、使えない知識を聞いて帰って来たのでは、はっきりいって時間と金の無駄である。
セミナーの内容は、十分吟味しなければならない。
しかしながら、弁護士先生の話を聞いても、実践に役立てられないというのは、ある意味無理もないといえよう。
なぜなら、社会保険労務士は、基礎法学を始めとして、法体系を勉強してきていないため、断片的な話をされても、それをコネクトして応用することができないのである。
それゆえ、自分が知らないこと、わからないことを謙虚に推し量るべきである。
たとえ高名な弁護士先生の話でも、法律の右も左もわからない人間が、いきなりレベルの高い話を聞いたところで、理解できるはずもない。
例えるならば、いくら優秀でも、小学生が背伸びして、大学で学ぶ内容を習ったところで、そう簡単には理解できるものではないということだ。
まずは、身の丈に合った、法律を咀嚼してくれるセミナーを選ぶべきである。
(続く)

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