雛澤潤一氏の奇跡

唐突だが、皆さんは「ぽつんと一軒家」という番組をご存じだろうか。
正月休みの午前中、見るでもなしにテレビをつけていると、
再放送の映像が流れており、見入ってしまった。

雛澤潤一氏は、長野県の酪農農家だった60歳代に、
ガンで余命半年を宣告された。
1年にも及ぶ入院生活で、退院後、
余命が半年ならば、
自身の周囲を綺麗にしてから旅立とうと決心する。
その一つが、桜の苗木を植えることだったそうだ。
最初は一人で始めた事業が、
気が付けば数多くの仲間が集まっていた。
また気が付けば、自身が所有する広大な山に、
4000本の桜の苗木を植えていた。
毎年春になると、木々は様々な種類の桜の花をつけ、
見る者の心を癒す。
半年の、余命宣告はどこへやら。
入退院は繰り返し、10回も手術したものの、
同氏は、20年の歳月を苗木の移植に費やすことができたという。

不思議だ。実に不思議だ。
山を桜で一杯にしたいという大きな夢は、
雛澤潤一氏を元気にしていったのだと思う。
自らが活動し、人の輪ができ、
その結果として、毎年春に花が咲き、
その他大勢の人々を喜ばせることができる。
夢、生きがいは、副作用がない最強の薬だ。
ジャン・ジオノの絵本、「木を植えた男」や、
最近、アフガニスタンで、
志半ばで銃撃された末亡くなった中村 哲医師の
灌漑用水活動による森の創設にダブる。

たった一人では大したことはできない。
しかし、人がその活動を認めれば大きなうねりとなり、
善の連鎖がとどまるところを知らない。
まず、誰かが第一歩を踏み出さなければ何も変わらない。
その一歩を踏み出す勇気が大切である。
経験や習熟度は二の次だ。
これをしなければ…という情熱が不可欠だ。
必ずしも利益に直結するとは言い難いが、
気がついた者が、先陣を切ればいい。
雛澤潤一氏の83歳にして、
少年のような屈託のない笑顔が印象的だった。
今後ともご活躍されることを期待したい。

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