親子関係をめぐる諸問題

祖父の精子で体外受精、17年で118人誕生(読売新聞)

ますます法律が、実態に追い付かなくなる。法制定時に想定されていない実社会に対し、紛争が生じたとき法はどう解決を試みるのだろうか。法は紛争ぼっ発の抑止力であると同時に、紛争解決のよりどころである。

 先日、DNA鑑定で血縁関係が否定された場合に法律上の父子関係を取り消せるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は、父子関係を取り消す ことはできないとする判決を言い渡した。これも法制定当時、予想だにしなかった紛争の一である。

 民法に沿った家族関係にある方々にとっては、何が問題なのかしっくりこないと思うが、たとえば、婚姻関係にあった夫からの度重なるDVに耐えかねて、家出した女性が、離婚など到底切り出せずに年月がたち、別の男性と事実婚をしたとする。その男性との間にできた子は、戸籍上DV夫の子となってしまう為、出生届すら出すことができず、戸籍なしで苦しむ子供が少なくないという。

 こうした子供を救うためには、DNA鑑定での親子関係の判断は画期的と考えられる。しかし、妻の不貞を知らず、実の子だと思い込んで惜しみなく愛情を注いだ子が、実は他人の子だったと知った父親がいたとしよう。このときDNA鑑定で親子関係がないとの客観的事実を理由に、父親の意向を無視して画一的に親子関係を取り消した場合、まさに托卵された父親はどこにその無念をぶつけたらよいのか…。
法曹界は、もう少し知恵を出さなければならないだろう。

 

 祖父の精子で体外受精した子供達も、紛争が無ければそれに越したことはないが、相続絡みでの骨肉の争いを内包しているように思う。

 どうすることが、人々の幸福に直結するのか。個の人権を尊重しつつ、ベンサムが言うところの「最大多数の、最大幸福」の見地からよりよい回答を導くことが、法曹に課せられた命題である。

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