「道」その4

その昔、「道」という名のイタリア映画があった。公開は50年以上前になるだろう。
旅芸人、粗野で暴力を振るうザンパノと、その手伝いで、頭が弱いが心の素直なジェルソミーナの物語。興味のある人は、是非DVDで見てほしい。
そのワンシーン、ザンパノから怒られてばかりいるジェルソミーナが、自分の能力を悲観して、綱渡り芸人にこう言った。

ジェルソミーナ・・・「私は何の役にも立たない女よ」

綱渡り芸人  ・・・「おれは無学だが 何かの本で読んだ。この世の中にあるものは何かの役に立つんだ。例えばこの石だ。こんな小石でも何か役に立ってる。」

(一昔前に流行った、SMAPの、「世界に一つだけの花」の歌詞のように、人はだれでも生きているというだけで、特別なオンリーワンということだ。生を受け、生きているということは、もちろん、意味があり、何かの役に立っているということである。)

互いに大切な人とは気づかずに、道をたがえてしまった2人。ザンパノが、ジェルソミーナとの日々を大切なものだったと気付いたのは、別れた後、彼女が一人で暮らした街に、たまたま立ち寄り、数年前に彼女が亡くなっていたことを知った時だった。「後悔先に立たず」である。

幸せは、それが手中にある時には気づかず、なくしたとき、初めて心から理解できるものなのかもしれない。
ちょっとしたボタンの掛け違えで、別々の道を進んだ二人は、永遠に離れ離れになった。
悲しく切ない音楽が、哀愁を際立たせる。

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