自衛隊法に「対抗措置」導入

離島占拠に「対抗措置」、自衛隊法改正へ(読売新聞)

「対抗措置」とは自衛権と警察権の中間的存在で、非正規軍による離島占拠等の事態を想定したものだそうだ。
尖閣諸島防衛のためにあらゆる事態に備えておくことが抑止力となる。
自衛隊法の改正とともに、自衛隊への海兵隊的機能の付与など、防衛力強化もぜひ急いでもらいたい。

4月25日の読売新聞で、編集委員の大塚隆一氏が「ウクライナの教訓」と題した記事を執筆されている。
ウクライナで現在進行中の事態を教訓に、「軍事」「経済」「法」という3つの力の効果や限界を見極めて、日本が対中国政策を決定する必要性を説く記事に深く頷かされた。
私も「軍事」「経済」「法」の面から色々と考えてみた。

まずは「軍事」であるが、
「対抗措置」導入により、中国が武装漁民等を用いて尖閣を占拠する事態への対処は可能になるだろう。
しかし、「尖閣を取り戻す」よりは「尖閣を取られない」方がよほどいい。
実際に尖閣を取り戻すとなれば、自衛隊が戦闘に突入することになるだろう。
その際に、多くの自衛隊員の血が流れ、生命まで奪われることになるかもしれない。
そのような事態になることを出来る限り避けるための防衛力強化による抑止が必要なのである。

また、「経済」でも日本社会が再び力を取り戻さなければならない。
ウクライナ情勢でロシアに対して欧州が有効な制裁の手を打てないでいるのは、エネルギー資源をロシアに依存しているなど、ロシアの経済的な存在感による面が大きい。
逆に言えば、ロシアに比べて圧倒的に経済的地位が低いウクライナはあまりに無力だということでもある。
メタンハイドレートの開発など、日本が独自のエネルギー資源を手に入れるための方策をもっと真剣に考えるなど、経済力の強化に関してあらゆる検討がなされるべきであろう。

最後に、「法」であるが、
よく「中国軍」という言葉が使われているが、実際には中国軍なるものは存在しないということは意外と知られていない。
中国には「人民解放軍」という組織があり、それが通称中国軍と呼ばれているわけであるが、人民解放軍は中国共産党を守るための組織であって、国家国民を守る組織ではないということである。
日本で「国家国民ではなく自由民主党を守るために自衛隊がある」などということは考えられない話だ。
人民解放軍は中国共産党一党独裁体制を守るための道具にすぎないのである。
中国はこれほどまでに体制が違う、民主主義とはかけはなれた国だということを、日本社会はもっと意識しなければならない。
自由と民主主義という価値観を連帯できる国々との交流を進め、中国が国際法に反する行動を取った時には協調して対処できるように、今から周到な準備をしなければならない。

中国はその経済力の成長とともに覇権主義の牙を向き始めている。
太平洋の半分を勢力範囲に置きたいという野望すら、米国相手に明言しているのが中国なのである。
「軍事」「経済」「法」
この3つを束ねて中国の脅威と対抗しなければならない。
それをするのが「政治」の役割である。
今まで以上に「政治」に国民が関心を持たねばならない時期が来た。

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