「どんとこい!労働基準監督官」入手困難

「どんとこい! 労働基準監督署」…とにかくこの本は入手できない。
「何とかしてくれ」との問い合わせが少なくないが、実は、わたしの手元に2冊しかないのでお譲りできないのが残念だ。
そんなに売れているのかと思い、アマゾンの売れ筋ランキングや欲しいものランキングを、職員の一人から見せてもらった。
どうやら、売れているのは事実のようで、嬉しい限りだ。出版社に問い合わせたところ、増刷するということである。今しばらくお待ち願いたい。

ところで、アマゾンにおける本書のレビューの中で、その書き込み内容につき、
ここまで書くかと思われるコメント(「これはフィクションです」と「内容の正確性に難あり」…おそらく、いずれも同一人物だと考えられる)
を発見したので、本書における、わたしの考えを述べておきたい。。

この方が書いたレビューによれば、本書には次のような誤りがあるという。
「厳格な証明」の意味を正確に理解しておらず、立証レベルの話を誤解している」という。
刑事訴訟法や民事訴訟法に精通している(弁護士等)の方に聞かれて書いたものと思われるが、しかしこれは、誤解以外の何物でもない

わたしは、本書において「厳格証明」を指摘されるような意味では用いていない。
刑事手続に耐えうるだけの証拠を準備できているのか、という会話の流れの中で「厳格な証明」に敷衍していくのである。
しかも「厳格証明」については、コメントのように記載されていない。
このようなコメントを書かれた方は、本書の読み方を間違えており、本書を素直に読めば、このようなコメントには至らないはずである。

検事の監督官に対するパーソナリティーを書き表すためのテクニックとしてこの作品を書き上げたものである。
本書は、面白くないと思い込まれては、かえってわたしがドキュメント風の物語を書こうとした意図が台無しになる。

わたしが書き続けようという真の意図は、労働基準監督官には事業主に対し、未払い残業代を請求する権限があるのかということなのである。
未払い残業代の請求自体は、私法上の権利、私人間の権利義務なわけだ。

こうした権利義務の解決の仕方は、当事者が自主的にするのが望ましいのではないかということである。
もともと権利自体が私的自治に任されている権利なわけだから、解決はまず、当事者に委ねるべきだということである。
このような問題に、労働基準監督官が介入することは、民事不介入の原則に反するのではないかという疑問を提起したかったからなのだ。
もっともそれでは、労働基準監督官は何もできないということなのかと疑問を呈する人もいることだろう。

たしかに、このような問題に監督官は深く介入してはならない。
しかし監督官の仕事は、違反を見つけた場合、当該事業主に対してしっかりと行政指導をし、
それにも従わない場合には、労基法違反として刑事罰を求めることにあるのであって、
労働基準監督署は裁判所のように残業代未払いを当該労働者に支払えと事業主に対して命令する権限を行使するところではないということである。

このようなことを多くの国民に分かってもらうことが、本書の目的の一つになっているのである。

わたしがこれから、10年間、本書のようなドキュメント形式の物語を書き続けるとして、その全体系が一体となって、
労働基準行政のありのままの姿、その理想像が作品のストーリーを通して読者の脳裏に浮かぶようにしたい…というのがわたしの願いである。

最後に一言付け加えたい。

人の作品に批評を加える行為に対して、法律用語でいう「フェアコメントの原則」を踏み外してはならない。
評論には、それなりの節度があって然るべきだ。活字になれば一般の読者も読むものだ。
それが、誤解を招き、筆者の名誉を傷つけることにもなる。
不当な独断と偏見に基づいた評論は、およそ評論の名に値しないのである。

いずれにしても、完璧なドキュメント形式の小説風の理想像は、わたし自身が追い求めているところである。
その追求の仕方にわたしなりの熟慮があるということをこの機会に披歴しておきたい。

河野順一

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